今度引っ越すから、もうここにもあんまり寄れなくなるな、
とか何とかいって、ちょくちょく顔を出す店に
ワインの一本でも持ってふらりと入って来た人がいた。
その人も少し酔っているようで
もちろん店の中は皆あまさず酔っていたので
仔細な長話はせず、そのわりに顔見知りたちと
さみしくなるな、なんてしみじみしていたりもした。
どの辺に?と聞かれたその人は、
詳しいことはまだ分からないんだけども
住所決まったら、まあこの店にでも連絡するよ、
なんて答えて、お持たせを空にして帰った。
それからしばらくして、
店のマスターが人づてに知ったところによると
その晩の人は、その晩からひと月経った頃に
自分を頸って死んだのだという。
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